「大阪とアクアリウム」というのは、イメージ的にあまり結びつかないかもしれません。しかし、江戸時代まで大阪は「水の都」と呼ばれ、縦横にめぐらされた運河をわたる橋が数多く存在したことから「八百八橋」とも称されたのでした。京都よりも海が身近だったことからも魚とのふれあいも多く、関西の魚食文化の中心としてかかわりも深かったのです。
そのような歴史・背景が手伝ってのことでしょう、よく見ると大阪にはアクアリウムがたくさんあります。
大阪府におけるアクアリウムのトピックをさまざま取り上げてまいりましょう。
無料または安価で見られるアクアリウム
大阪にある公的、ないし準公的な施設で、無料または安価で見ることができるアクアリウムがいくつかあります。ご紹介しましょう。
連日通勤通学客や観光客でにぎわう「なんば駅」ですが、その北東改札口にちかいあたりにアクアリウムが設置されています。駅の構内ではなく外側で、近鉄の大阪難波駅から南海なんば駅に通じる地下通路の途中です。
地下通路ですから、多くの人はただ通り過ぎるだけなのですが、中には足を止めて見入る人もいます。アクアリウムには、人の視線を引きつける強い力があるのです。
1階のロビーに円筒形のアクアリウム・「ふれあい水槽」があり、整理券をもらって海水魚に手で触れることができます。同館では、下水道の歴史や高度処理など下水処理のテクノロジーを学ぶことができます。
-
大阪府立環境農林水産総合研究所・生物多様性センター(寝屋川市)
寝屋川市にある大阪府立環境農林水産総合研究所・生物多様性センターでは、平日9時30分から午後5時までの開館時間に見学が可能。本館エントランスにアクアリウムがあり、イタセンパラなどの淡水魚が観察できます。
高槻市立自然博物館「あくあぴあ芥川」には、2階の展示室に淡水魚が観察できるアクアリウムがあります。1階には昆虫や動物の展示があります。
貝塚市立自然遊学館では、淡水魚だけでなく海水魚も飼育されています。玄関ホールのアクアリウムで、大阪湾に住むグレ、チヌ、キジハタ、クサフグ、アイゴ、シマイサキなどを見ることができます。川に住む淡水魚、カワムツ、コイ、銀ブナ、ウキゴリなどは展示室奥のスペースで飼育されています。そのほか、両生類や甲殻類も見ることができます。
これらのほか、かつては大阪市水道記念館や、阪急三番街の「かわいい水族館」でもアクアリウムをみることができたのですが、水道記念館は橋下知事の決定により閉鎖、「かわいい水族館」もリニューアル工事にともなって廃止されました。
アクアリウムのある飲食店
続いて、少しお金のかかる方、アクアリウムを設けているレストランやカフェ、バーなどです。やはり「癒やしの空間」を提供するアクアリウム。お客を引き寄せる「呼び物」として、意外と多くのお店が設置しています。
なんば駅から徒歩3分の至近に位置する「心斎橋ライム」は、300坪300席の広いスペースをもつ店内に9面の巨大なアクアリウムを設置、1万匹を超える熱帯魚に囲まれながらの食事が楽しめます。大阪を代表するアクアリウム・レストランです。
名前からわかるように、心斎橋ライム系列のお店です。地下鉄四つ橋線西梅田駅から徒歩5分にあります。心斎橋ライムと同様に、1万匹を超える熱帯魚を飼育しており、美しい魚たちを間近にながめながらの食事が楽しめます。
JR東西線北新地駅から徒歩2分の至近にあります。アクアリウムフロアが用意されており、ゆったりしたソファー席でデートや少人数の接待に利用できます。もう少し大人数のパーティに向けたアクアリウムスペースもあります。
道頓堀からすぐの場所にある「アクアリウムリゾートダイニング」というふれこみです。全席ソファー席で、壁に埋め込むように設置されたアクアリウムに加えて、中がアクアリウムになっているガラス天板のテーブルもあります。
こちらは少し変わり種で、アクアリウムを置いているものの、お客を待っているのは魚だけではなく、店名でわかる通り「ヤモリ」たちです。水槽から脱走して店内をチョロチョロ歩き回らないかと心配になります。場所は大阪市都島区都島中通で、JR京橋駅から徒歩12分となっています。
-
アクアリウム個室Dining EDEN 梅田D.D.HOUSE店
阪急京都本線梅田駅茶屋町口から徒歩2分のところにあります。店名からわかるように個室主体のレストランで、少人数でも貸切のような雰囲気でプライバシーを気にせずゆっくりと食事ができます。アクアリウムはある部屋とない部屋があるようです。
その他のアクアリウム
そのほか、クリニック、デンタルクリニック、幼稚園や保育園、ホテル、個人宅にもアクアリウムは広がっています。そのうち、見ようと思えば見られるものをご紹介しましょう。
名門・大阪リッツ・カールトンホテルのロビーに、なんと「伊勢エビ」を数匹飼育しているアクアリウムがあります。水槽があまり大きくない分だけ、むしろ伊勢エビの迫力が目の前で感じられます。ときおり伊勢エビがはげしい動きを見せることもありますので、機会があったらしばらくながめてみてはいかがでしょうか。
関西全域の「かに道楽」各店はすべて水槽を持っています。観賞用ではなくて、「あ、あれ食べたい」的な見方をする水槽ですので、「アクアリウム」と呼んでいいのかどうか微妙なところがありますが、生き物を見える状態で飼育していることにはちがいありません。
ただ、普通の水槽とはちがう「活魚水槽」である点にはぜひ注目していただきたいです。濾過槽はふつうの水槽にはない巨大な容量をもっています。店内の水槽が100リットルだとすれば、地下に置かれた濾過槽の海水量は10倍の1,000リットルにも達します。さらに水温は3度に保たれ、かにの生存に適した環境にしています。このような活魚水槽の設営には特別なノウハウが必要になります。
大阪でアクアリウムを持ちたいなら
「趣味で癒やしのアクアリウムを楽しみたい」、「うちのリビングにアクアリウムを置きたい」、「会社のエントランスにアクアリウムを置きたい」……近年静かなブームになっているアクアリウムに興味をお持ちの方も多いことでしょう。
もちろん、趣味の範囲であれば自学自習で知識とノウハウを身につけながら楽しむこともできます。しかし何らかの壁に当たってしまうこともあるでしょう。また、来客に見せ、もてなすためであれば失敗できませんし、きちんと管理しなければなりません。そのような、なかば公共の用途に向けたアクアリウムの設営には、プロフェッショナルの力を借りるべきでしょう。
地元・大阪には、観賞魚水槽の設計、施工、企画、演出、メンテナンス、コンサルテーションやアドバイスといったアクアリウムをめぐるすべての業務に対応できる業者がいます。農林水産省・経済産業省・JOFA認定・観賞魚管理士の資格をもち、魚類に関する知識はもちろん、法律や建築にまでおよぶ関連知識もしっかりもった業者を選ぶようにしましょう。
水槽メンテナンス・インテリア(大阪)